遠鉄電車を降りて、今はもうありませんが、かつての実家があった場所へ向かいました。
歩き始めて間もなく、自分でも意外なほどに懐かしさがこみ上げてきました。
一車線の道幅しかない何の変哲もない細い道ですが、高校時代の3年間を通った時とほとんど変わっていません。
変わったといえば、右側の八幡宮境内と左側のヤマハ本社の敷地に立っている樹の高さと、それを眺めている自分の年齢くらいです。
浜松駅前の変容ぶりには驚かされましたが、その一方で45年の歳月を隔ててなお、ほとんど変わらぬ光景にも驚きました。
もっとも自分一人だけの感傷なのではありますが、自転車で走り抜けていた時代と同じ場所に同じ家があることに、胸がいっぱいになりました。
鉄工所があって、米屋さんがあって、浜松祭りに繰り出す町内会の屋台置き場も昔と同じたたずまいでした。
もっとも昔あった家が無くなって駐車場になっていたり、角の文房具屋さんが店終いをしていたりと、やはり少なからぬ変化はありました。
中でも、中学校の同級生が後継ぎをしていた小さな町工場が閉鎖している様子には、時代の波を感じました。
「ペペルモコ(望郷)」のジャン・ギャバンの心情をちょっぴり気取ってみたい気持ちになりました。