昨日アップした春の明日香村の続き。
ニュースで高松塚古墳の石室に描かれた壁画の修復のために、石室の解体・搬出が始まったことが報じられた。高松塚古墳の発掘調査が行われた
のは昭和47年(1972)だから、私が明日香村を訪れた時にはもう極彩色の壁画も知られていたのだが、そのことは余り記憶にない。旅の途中に明
日香村に寄ったのは考古学に特段の興味があったわけでなく、昭和48年から49年にかけて朝日新聞に連載された、松本清張の「火の回路」(昭和50
年に「火の路」と改題されて出版)を読んでいたためだ。物語の導入部、そして全篇を通してキーポイントとなっている「酒船石」を、ぜひこの目で見たか
ったからだ。用途が不明な「酒船石」ばかりでなく、「猿石」や「益田岩船」等々、明日香村には古代飛鳥時代とそれ以前からのものと思われる不思議な
物がたくさん残されている。邪馬台国が何処にあったのか?と同じくらいの諸説入り乱れて、尽きない面白さがある。
薄暗い木立の中にひっそりと、かつ無雑作に「酒船石」が在った。確かに訳の分からない不思議な格好をして、沢山の謎を秘めているように思えた。
「蘇我入鹿の首塚」。こちらは田んぼに囲まれた、開けた場所にあるのがかえって異様に感じられた。
(Asahi Pentax SP)