当時のサロベツ原野は、手つかずの自然がまだ多く残されていて、あちこちで目をみはる美しい景色に出会うことができました。一方、開発局による放水路の整備や排水工事が進むにつれて地下水位が下がり、結果として農地として使える場所が増えるかたわら、自然の植生が衰退する場所も出てきました。自然保護を訴える人々や団体の働きかけもあって、昭和49年(1974年)に利尻・礼文の2島とともに国立公園に指定されました。昭和58年(1983)から環境庁によってサロベツ湿原の保全事業の研究と対策が実施されています。
一度失われた自然を元通りに復元するには多くの年月がかかります。そのため、闇雲に開発を進めるのは考え物ですが、かといってそこで生活する人達の暮らしを考えることなく、ただ自然保護を訴えるのもいかがなものかと思います。とくに国策として開拓に入ることを誘導された農家に対して営農が成り立つための支援を何もしないのは無責任です。明治以来、不毛の大地を相手に血の滲むような努力を重ねながら、空しく去っていった農家は数え切れません。 自然をそのまま保全していっさい手をつけないのがいいのならば、極論になりますが、明治からの北海道開拓そのものが間違っていたのだとも言えます。ありきたりではあるけれど、人の暮らしと自然との共生の道を、試行錯誤を重ねながら探っていくことが必要だと考えます。 ちょっと堅苦しくなってしまいましたが、サロベツの美しい風景で気分直しをしたいと思います。 サロベツ川にかかる橋です。木造でなかなか見栄えのする橋ですが、今はもう架け替えられているのだろうと思われます。 サロベツ川の夕景です。暮色に光る川面と、遙かに見える利尻山が印象的でした。 稚咲内の浜から見える利尻島の姿が美しく旅情を誘います。 利尻島をバックに、柄にもなく旅情にひたっている姿の記念写真です。 (Asahi Pentax SP、Takmar50mm) #
by kitanonezumi
| 2006-11-13 23:01
| 学生時代
サロベツ原野はほんとうに広いです。カシワや灌木などの疎林と葦などが生える湿原がどこまでも続いています。
原野の中を道路と電信柱が真っ直ぐに走っています。道路は舗装されておらず、デコボコの穴だらけの悪路に自動車はゆっくりとしか走れません。 原野の中に散在する集落の一つ、木造の平屋が十数軒ひっそりと肩を寄せ合って建っていました。 農業は酪農がほとんどです。というより草しか穫れないので、家畜を飼うしかないのです。一軒の酪農家に立ち寄った時に会った女の子です。人なつこいとても可愛い子でした。今では50歳くらいの素敵な奥さんになっているだろうなと思います。 (Asahi Pentax、Takmar 50mm) #
by kitanonezumi
| 2006-11-12 22:22
| 学生時代
借りた小舟でサロベツ川を下っていきます。
サロベツ川には途中にペンケ沼とパンケ沼という沼がつながっています。ペンケ沼は小さくてほんとに沼という感じですが、パンケ沼は湖と言っていいくらいの広さがあります。天塩川から逆流してくる海水がパンケ沼にも入ってくるために、沼の水は塩分を含んでおり(鹹水)、シジミ貝がたくさん生息していて漁の対象になっていました。 パンケ沼の水深は浅く、深いところでも数メートルしかありません。数カ所に網を仕掛けて、目印にポールをさしておきます。 翌日、網を引き揚げて入っていた魚を種類毎に分けて、数と重さを計ります。公魚(ワカサギ)、鮒(フナ)、鯉(コイ)などが採れましたが、ワカサギが最も多くて数を数えるのに時間がかかり、けっこう苦労しました。と言っても、写真を見る限りは楽しそうにやっていますね。 (Asahi Pentax SP、Takmar 50mm) #
by kitanonezumi
| 2006-11-11 23:24
| 学生時代
昭和41年(1966)の夏、大学3年生だった私は道北のサロベツ原野で約1週間のキャンプ生活を過ごしました。サロベツ原野は広さ約2万3千町歩の泥炭地の大湿原で、明治以来の開拓の手をはね除けてきました。戦後、北海道開発局はこの地での農業を成立させるために、明渠や放水路などの大規模な排水工事を進めてきました。一方、昭和36年から45年までの10余年にわたって実施した泥炭地の排水・干拓工事に伴う諸現象の変化を追跡するサロベツ総合調査が行われ、私が所属していた教室は、陸生および水生動物の変化を調べる調査を担当していました。
名目上は調査補助人夫としてささやかながら日当と旅費をもらって、私とN君は喜々として水生動物調査を担当しているI 助手に付いていきました。その様子を4回に分けてアップします。 当時はまだ国鉄だった宗谷本線豊富駅で降りて、バスで調査地へ向かいました。 サロベツ原野を南北に縦断して天塩川にそそぐサロベツ川と、途中にあるペンケ沼、パンケ沼に生息する魚の種類と生息数を調べるのが、その時の調査の目的でした。地元の漁師から船外機の付いた小舟を借りました。3人が乗れば満員です。 サロベツ川を下っていくと、岸辺の葦の陰からカモが慌てて飛び立ちました。 川岸に舟をとめ、乾いた場所を見つけてテントを張って野宿です。ヤブ蚊にずいぶん悩まされましたが、夕焼け空に遠くの利尻山がくっきりと浮かび上がった景色に心を奪われました。 (Asahi Pentax SP、Takmar 50mm) #
by kitanonezumi
| 2006-11-10 23:38
| 学生時代
ちょっとしつこいですが、今年の紅葉としては打ち止めのアップです。11月4日に湯川公園で写したものです。今年の6月にさんざん迷った末にCanonのEos 30Dを手に入れたこともあって、紅葉を撮影する回数が多くなりました。それまでは本気で紅葉を撮影する気持ちも無かったのですが、Eos 30Dで写した結果を見ると自分の実力以上にきれいに撮れている思い(自己満足がほとんどですが)、それに力を得て俄然、写欲が出てきたものと考えられます。
下手の横好きで日曜大工もやったりするのですが、やはり道具は大事だということを実感しています。どんなに慎重にノコギリを使っても直角に切るのは素人には至難の業ですが、スライド丸鋸を使うと簡単に直角に切断できます。その結果は組み立てた品物に如実に現れます。 良い道具を使うと、未熟な者にもそれなりの成果をもたらしてくれると思います。プロがいい道具を使うのは当たり前ですが、素人だから適当な道具でいいと考えるのは間違いだと分かりました。 前置きはこれくらいにして、まずは紅赤(あざやかな黄みの赤:「色の手帖」による)のカエデ 杏色(くすんだ黄赤)に近いカエデ 開拓当時のままに復元した家屋を引き立てるカエデの木々 (Canon Eos 30D、EF-S17-85mm) 最後はややアンダーではありますが、深紅のカエデ #
by kitanonezumi
| 2006-11-09 22:10
| 自然散策
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